『眼鏡っ娘有希』
 有希は高校入学式の朝、顔を洗ってメガネをかけて鏡に写った自分の顔を見た。有希は小学校4年からメガネをかけている。それ以来視力が減退して、ほぼ1年半くらいでメガネを変えている。
中学生から高校生になる春休みに、眼科クリニックでドアイアイの目薬を処方したもらった際に、視力検査もしたら視力が減退していて、メガネを新調することにした。裸眼では視力検査表の
一番上の記号が見えなくて、定位置から半分くらいの距離まで進んで漸く見えた。ほかにも視力検査の女子高校生らしき生徒がいて、有希よりもさらに前に進まないと見えないようだった。
有希は中学2年の秋に視力が0.1を切った時、(ワタシは本当の近眼になったんだ。何をするにもメガネが要るんだわ。一時もメガネが外せないんだわ。)と思った。有希はメガネを外して
鏡に顔を近づけた。(これから大人になって、化粧をするようになったら、鏡にぐっと顔を近づけないと見えないんだわ)そう思って有希はメガネをかけ直した。今日からは眼鏡っ娘の高校生活
の始まりだ。有希は自分の部屋へ行った。高校へは電車通学になる。有希は高校生活での新たな出会いに期待を寄せながら駅に向かった。
(つづく)