中田英寿をスネさせた「茂庭事件」 06年ドイツW杯惨敗の原因に?

2020年10月21日 16:00
東スポWEB


【多事蹴論(7)】2006年ドイツW杯に臨んだ日本代表は「史上最強」と言われながらも1次リーグを1分け2敗で敗退した。現役時代に“サッカーの神様”と呼ばれた元ブラジル代表10番のジーコ監督をもってしても決勝トーナメント進出はかなわなかったが、当時のチーム内では様々な惨敗の原因が指摘されていた。

 その一つがW杯開幕前、ドイツ・ボンでの合宿中に起きた“事件”と言われている。キッカケはDF田中誠が左ハムストリングの肉離れで代表を離脱したことだ。このアクシデントにジーコ監督はDF茂庭照幸を追加招集。ハワイで休暇中だった茂庭は、わずか1日の滞在でオフを切り上げて日本代表に緊急合流したが、その初日だった。

に気まずい雰囲気に。とりあえず「ヒデさん、こっちでみんなと一緒に食べましょうよ」と声を掛けるも、中田は「別にいいよ」と拒否。何度も誘うものの、表情は硬いままで明らかにふてくされた表情だった。特にエースの気分を害したのは、茂庭を中心に盛り上がるチームメートらがいた場所。そして、合流した茂庭が食事会で陣取った位置こそ、もともと中田が“指定席”としていたところだった。

 日本代表の食事は基本的にビュッフェ形式。当時は自由に好きなメニューを取り分け、席もフリーで合宿が長期間に及ぶと、自然に選手たちの定位置が決まってくるという。中田も合宿初日から同じ場所でチームメートと談笑しながら食事を楽しんでいた。しかし、そこに代表のチームの事情をまったく知らない茂庭が合流。エースの居場所を奪ってしまったばかりか、いつも同じテーブルで、ともにワイワイ騒いでいたメンバーごと“強奪”されてしまったことに、大エースはスネてしまったわけだ。