●● 小泉構造改革 と 橋下大阪都構想 ●●

●小泉は構造改革の意味・定義を国民に積極的に説明していない。そのため
国民は構造改革の意味を、自己流で多種多様に解釈(行政改革、不良債権処理、財政再建など)
してしまい、結果、批判する側が焦点を絞ることが出来ず、人気が何時までも続いた。
●同様に、都構想の中身が確定してないために、都構想への批判が府民にピンと来ない。
また、ある人は「公務員削減」、またある人は「既得権剥脱」が都構想の効果と勝手に解釈していて、
都構想への批判が耳に入らない。
●「骨太の方針2001」という小泉内閣発足直後の公式文書に構造改革の定義が書いてある。
「生産性の低い産業から、ヒト・モノ・カネの経済資源を生産性の高い産業へ移転する。
このために障害があればそれを除去する(ex規制緩和)」ことが構造改革である。
 バブル崩壊後、需要喚起のため公共投資を行っても景気が回復しないから、需要でなく供給側に
問題があると考え、バブル崩壊後に供給側の生産性が低下していることに注目し、構造改革で
生産性を高めれば景気は回復するはずだ、と考えたのである。
 しかし、生産性が高い産業は余計な経済資源(ヒト・モノ・カネ)を使わないから生産性が高い
のであって、生産性の低い産業を淘汰すれば、生産性の高い産業がその経済資源を受け入れて
くれ、経済資源が移転するということはない。
また、好景気のときには新しい産業が生まれるから経済資源の移転は起きやすいが、不景気のとき
は起きにくい(カバレロとハマーの実証研究)。
 かくして構造改革は生産性の低い産業の淘汰だけに終わり、淘汰された産業のヒトは失業者となり、
淘汰された産業から回収したカネは生産性の高い産業への貸出に回らず国債市場へ流れ、
規制緩和は副作用だけをもたらした。
●現在の不況の原因は「需要不足」である。
ところが、都構想が一元的行政で経済効果を発揮するのは「供給側」である。
公共投資だから需要喚起はできるが、需要側は 投じた金額×一定の乗数 で決まるから
一元的行政でも二元的行政でも公共投資の予算総額が同じなら、効果は同じである。
 都構想が違うのは、二元的行政では出来ないプロジェクトにより「利便性」などの向上で
企業が集まる等の「供給側の効果」を期待できる点にある。
●しかし、需要がないところへ供給側の効果を期待しても供給は来ない。仮に供給が増えても
益々「需給ギャップ」が広がるだけである。
従って、都構想は構造改革と同じに人気だけで、大阪の景気には何ら効果を発揮しない政策
なのである。
現在の不況の原因は「需要不足」である。 この基本を踏まえない政策は全く無意味で無駄である
ことを大阪府民は知るべきである。