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つづき

学部時代に「飛び級」を達成

──学部のときに飛び級されたのですね?

ええ、これもその友人たちの誘いで、3年生しか受けられない飛び級試験を受けて、ともに学部3年で中退し、修士課程へ進学しました。友人2人は整数論を選びましたが、私は作用素環論を専門とされている河東泰之先生の研究室に入りました。

河東研究室のセミナーでは、ノートを見ないで話をすることを要求されました。このスタイルは、私の研究室でも踏襲しています。最初は大変でしたが、これは暗記を強要するものでは決してなくて、きちんと問題を理解して、自分の頭で再構築する力を養うための方法論です。数学に限らず、こうした訓練をしておくことは、社会へ出てからも役立つと思います。

修士課程2年のときには、カリフォルニア大学バークレー校の数学研究所MSRIに1年弱ほど留学の経験もしました。

その後、博士課程を2年で修了して結婚し、東大大学院数理科学研究科で学術振興会の特別研究員(PD)として研究を続けました。この時期に、オレゴンでの長期滞在も経験することができました。それから、学術振興会の特別研究員(SPD)として、北海道大学大学院理学研究院で3年間、のびのびと研究生活を過ごしました。

3年間世界を飛び回っていたのですが、この間に培った人間関係が、いまの自分の研究を支える基盤になっています。

もう1つ、北大時代に得たことといえば、札幌の喫茶店で漫画『ヒカルの碁』を読んで、囲碁に目覚めたこと。現在は、囲碁三段です。

つづく