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つづき

数学オリンピックが着火剤に
──いつから数学を研究しようと思われるようになったのですか?

純粋数学の面白さに触れたのは、高校2年の終わりに、数学オリンピックの日本代表候補20名に選ばれたのがきっかけです。選抜合宿に参加すると、自分よりも数学の知識に通じていて、すぐに本質を見抜いてしまうような非常に優秀な人たちがたくさんいて驚きました。

それまで、自分より数学ができる学生に出会ったことがなかったので、たいへん刺激を受けました。残念ながら代表の6名には選ばれなかったのですが、高校3年の夏に代表候補者などが集う合宿に参加することになり、そこで出会った同級生が私の人生を変えることになります。

彼らから、一緒に東京大学へ進学して、数学を勉強しようと誘われたのです。そこで、地元に近い京都大学ではなく、東大への進学を決めました。東大理科1類に進学し、上京して1人暮らしを始めることになりました。

入学してからは授業にはあまり出ないで、その友人たちとテキストを決めて、週に1度集まって輪講していました。その頃は、とにかく数学の知識を吸収することに必死で、かなりの時間を費やしていましたね。

つづく