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つづき

この「単遠アーベル的アルゴリズム」は、pTeich における MF∇-object
の Frobenius 不変量に対応するものであり、即ち p 進の理論における
Witt 環の Teichm¨uller 代表元や pTeich の標準曲線
の「IU 的類似物」と見ることができる。別の言い方をすれば、この「単遠アーベル的
アルゴリズム」は、一種の標準的持ち上げ・分裂を定義しているものである。また、(単
遠アーベル的な)「ガロア系」の対象が p 進の理論における crystal(= MF∇-object
の下部 crystal)に対応しているという状況には、Hodge-Arakelov 理論における「数
論的 Kodaira-Spencer 射」(=ガロア群の作用による)を連想させるものがある。  
2008 年 4 月から IUTeich 理論の「本体」の執筆に取り掛かる予定である。この作
業は、ごく大雑把に言うと、次の三つの理論を貼り合わせることを主体としたもの
である:
・The geometry of Frobenioids I, II
・The ´etale theta function and its Frobenioid-theoretic manifestations
・Topics in absolute anabelian geometry III
因みに、2000 年夏まで研究していたスキーム論的な Hodge-Arakelov 理論がガウス
積分
∫ ∞ ?∞ e?x2dx = √π
の「離散的スキーム論版」だとすると、IUTeich は、
このガウス積分の「大域的ガロア理論版ないしは IU 版」
と見ることができ、また古典的なガウス積分の計算に出てくる「直交座標」と「極座
標」の間の座標変換は、(IU 版では)ちょうど「The geometry of Frobenioids I, II」
で研究した「Frobenius 系構造」と「´etale 系構造」の間の「比較理論」に対応して
いると見ることができる。この「本体」の理論は、現在のところ二篇の論文に分けて
書く予定である。 

つづく