>>41俺はほんとにたいしたことないのかもしれない。浪人が決まって心底そう思った。予備校の入寮面接で泣かされた。
「お前はなんのために大学行くんや?」寮官さんの言葉。痛烈に効いた。泣きながら、浪人してまで受験する動機を、どうにかこうにか言葉にしたわ。
受かって京都に出て寮に入った。倍率26倍だったか、たしかそんな数字をあとで聞いた。合否の基準はなんやったんかも聞いた。
「おもろい奴とった」って寮官さんが言ってたってだれかが言ってた。集団の中に入ってまわりに迎合してうまくいくはずないと思ってたけど、一人だと甘さがあるのも確かなことだと思う。寮に入ってよかった。
頼みの綱が数学で、あとの科目がなるべく足を引っ張らないように、センターからできるだけとることを考えた。あとは得意の数学をのばすこと。寮で勉強することがほとんどやった。
やるだけやってあとは本番。模試の判定なんか傾向も違うし、現役が台頭してくるもん当てにならんし、無視や。ほかの大学受けぇ言うて無理やり受けさす担任とかおらんし、予備校は自由でいい。東大本番は英語と理科が難しいで、一日目の国語と数学で逃げるしかない。
一日目終わって受かる思た。これ受かるぞ、って。けど二日目は泣いてた。旅館が出してくれた弁当やったか、校舎の石の階段のとこで食べて、ここまでがんばったのにいう半泣きの状態。理科と英語。どっちが先でどっちがあとやったかあいまいやが、逃げきったと思う。