>>55

つづき

1.6 上極限と下極限
収束先がわからない数列が収束するか否かを判定するもう一つの必要十分条件として,
「上極限」と「下極限」を考えておくことにする.
そのあとで,「コーシー列なら収束する」の証明も付け加えよう.

A の端と端を決める(ギリギリの数にする)つもりで,「上限」と「下限」を定義する.
定義1.6.2 (上限と下限) A を実数の集合とする.A が上に有界のとき,
A の上界の最小値をA の上限(supremum)と定義し,sup A と書く.
同様にA が下に有界のとき,A の下界の最大値をA の下限(infimum)と定義し,inf A と書く.
(注)上限と上界は間違いやすいから,注意する事.(正直,僕は日本語だとどっちがどっちだったかすぐにわからなくなる.)

以上の準備の下に,数列an の上極限と下極限を以下のように定義する.
定義1.6.4 (上極限と下極限) 実数列{an} が与えられたとき,極限
lim n→∞ (sup k?n ak) (1.6.1)
を{an} の上極限といい,lim sup n→∞ an (1.6.2)
上極限の定義の中に現れている
(sup k?n ak)は,n について単調減少である.
従って,上極限は必ず存在する(特別な場合として+∞ も極限に含めるとして).
(引用終わり)

以上