2019年5月号

■出題2

 I(f) は Σ上での平均であり (4π) のベキが出てきて面倒である。
 そこで単位球上での平均 I~(f) をガウス積分を使って計算すれば
 I~(x^h y^k z^L) = (h-1)!!(k-1)!!(L-1)!!/(h+k+L+1)!!  (h,k,L とも偶数か0のとき)
 h,k,L のいずれかが奇数のときは 0 である。(消滅則とよぶ。)
 立方体S~の稜の向きをx,y,z軸にとれば、頂点は(±1/√3, ±1/√3, ±1/√3)
 正八面体T~の体対角線をx,y,z軸とすれば、頂点は(±1,0,0) (0,±1,0) (0,0,±1)
 これらの配置はxy平面、yz平面、zx平面 について面対称だから消滅則が成り立つ:
  S~(x^h y^k z^L) = T~(x^h y^k z^L) = 0    (h,k,Lのいずれかが奇数のとき)
 よって h,k,L とも偶数または0のものを考えればよい。
・問1
 多項式f が3次以下ならば 1, xx, yy, zz に限る。
 I~(1) = S~(1) = T~(1) = 1,
 I~(xx) = S~(xx) = T~(xx) = 1/3,
・問2
 上記の配置では、S~の頂点と T~の頂点が斥け合う形で、都合がよい。
 多項式fが5次以下ならば上記のほかに x^4, xxyy, … がある。
 I~(x^4) = 1/5,  S~(x^4) = 1/9,  T~(x^4) = 1/3,
 I~(xxyy) = 1/15,  S~(xxyy) = 1/9,  T~(xxyy) = 0,
 ∴ I~(f) = (3/5)S~(f) + (2/5)T~(f),
 ∴λ = 3/5,
・問3
 正12面体と正20面体の配置を次のようにとる。
 消滅則が成立つように xy平面、yz平面、zx平面 について面対称とする。U~の頂点とV~の頂点は斥け合う。
 正12面体U~の頂点は、3つの平面上の長方形 (φ^2:1) の頂点(12点)、および立方体S~の頂点(8点)。
 正20面体V~の頂点は、3つの平面上の長方形(1:φ) の頂点(12点)。
 多項式fが5次以下の場合は上記と同様に計算して I~(f) = U~(f) = V~(f),
 多項式fが9次以下の場合を計算することにより  I~(f) = (9/14)U~(f) + (5/14)V~(f),
 ∴λ = 9/14.