18年12月号の講評です。
今月は2問とも歯応えのある良問でした。

https://www.web-nippyo.jp/10317/
(すでに1月号の問題が出ている)

■出題1:レベル6以上(常連正解率75%以下)

上原隆平先生の良問。
表の出る確率pの歪んだコインを使って公平な勝負を行う。
問1は2回投げて表→裏、裏→表ならそれぞれAさん、Bさんの勝ち。
それ以外はやり直しとするルールのもと、期待値と期待値の最小値、それを与えるpを求める。
問2は問1より期待値が小さくなるルールを考える。

問1は簡単な計算問題。問2は難しい。
問1の勝敗条件をキープしつつ、ある回数を区切りとして
勝ち負けの条件を再帰的に定める方法がある。
この方法を採ると期待値は無限積となり最小値は問1の値を下回る。

>>151氏は早い段階で無限積に到達している。
以前お世話になった早解きさんでしょうか。


■出題2:完答レベル8以上(常連正解率20%以下)

奥田隆幸先生のエレガントな難問。
n個の実数a_1,a_2,...,a_nがある。
s_kを(1)a_kを-1倍、(2)a_{k-1},a_{k+1}にa_kを加える操作と定義する。
この操作を繰り返しすべて非負となったらゴールというゲーム。
問1は初期値によらずゴールできること、
問2は手順によらずゴール状態が1通りであること、
問3は左右対称形からスタートするとゴールも左右対称であることを示す。

問1はマイナスを掃き出す手順を1つ見つければよいだけ。
問2は行列群を考える方法があるが、解き切るのは難しい。
問3は問2の結果であるゴールの一意性を前提とすればゴリ押しでもなんとかいける。
つまり左右対称形でゴールできる手順を1つ見つければよい。
それは比較的簡単に見つかるが厳密な論証は簡単ではない。

エレガントに解いた方のコメントもとむ。