>>320 つづき

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モック保形性と月影 大栗博司のブログ 2015年 04月 17日
(抜粋)

数式:http://planck.exblog.jp/iv/detail/?s=23930852&;i=201504%2F17%2F69%2Fc0194469_6492216.jpg

カナダのウォータールー市にあるペリメータ研究所で開かれている 「モック保形性と月影」 と題した国際会議に来ています。

上の式は、私が1989年に東京大学に提出した博士論文から取りました。
この式の係数、90、462、1540、4554、11592などは、超弦理論をK3と呼ばれる空間にコンパクト化したときに現れる粒子状態の数で、私の博士論文の成果のひとつは、これらの数を計算する方法を開発したことでした。

しかし、これらの数の背景にある基本原理は、長い間わかりませんでした。

それからちょうど20年経った2009年に、江口徹さんと立川裕二さんとアスペン物理学センターで話をしているときに、
これらの数字を2で割った、45、231、770、2277、5796などが、マチュー群と呼ばれる有限群の中の一番大きなM24の既約表現の次元になっていることに、3人で気がつきました。

私たちの発見は、「マチュー月影」と呼ばれて、その後いろいろな方面から研究されるようになりました。

月影というのは、英語では "Moonshine" といいますが、夜、池の表面に映った月の光、それから転じて、「実体のない反映」、さらには、「ばかげたこと」という意味になったのだそうです。

つづく