>>278 追加引用

http://fuchino.ddo.jp/articles/winterreise2016ex.pdf
冬の旅 ? ポーランドとチェコへの数学の旅11 渕野昌 201712
(抜粋)
P22

A.3 測度とカテゴリー(ただし,ここで言うカテゴリーとは,カテゴリー理
論のそれではなく,第1種(first category) および第2種(second category) の集合に関す
る議論のことである.)

ゼロ集合は測度の意味で小さい集合であるのに対し,第1類の集合はカテゴリーの意味で
小さな集合である. なお,第1類の集合は最近の文献ではmeager set と呼ばれることの
方が多いようである. “meager” は「痩せこけた」という意味である.
可算集合は,ゼロ集合,かつ,第1類の集合である.また,カントル集合も,ゼロ集合,
かつ,第1類の集合であるような例の一つである.しかし,ゼロ集合は,必ずしも第1類
の集合であるとは限らないし,逆に,第1類の集合も,必ずしもゼロ集合とは限らない:

定理A.2 第1類の集合M で,R \ M がゼロ集合になるようなものが存在する. 特に,
M はゼロ集合ではなく,R \M は第1類の集合でない.

上の定理でのM は,カテゴリーの意味では,小さい集合だが,測度の意味では,ほと
んどすべての実数を含んでいることになる.
先に,連続体仮説の仮定のもとで,ゼロ集合と第1類の集合の間に強い形の双対性が成
立すると書いたが,このことは正確に言うと次のようになる:

定理A.3 (シェルピンスキーの双対原理) 連続体仮説を仮定する.この時,全単射f : R →
R で,任意のR の部分集合E に対し,E がゼロ集合であることとf(E) が第1類の集合
であることが同値になるようなものが存在する.

つづく