おっちゃんです。

背理法のからくり。
基本的に、背理法で示せる命題は、有限回の推論で矛盾を導くことで示せるようになっている。
Pを仮定、Qを結論とする。P、Qが両方共に真或いは偽のどちらか一方になるのときの命題 P→Q を示すことを考える。
命題 P→Q を背理法で示すとする。Qを否定する。その上で元の仮定のPも仮定する。
そうすると、P、Qは両方共に真か偽のどちらか一方だから、命題 P∧ ¬Q を偽と仮定したことになる。
そして、偽の命題 P∧ ¬Q から始めて、有限回の推論で、背理法で示すべき命題 P→Q を示すことになる。
これを行うにあたり、Qの否定 ¬Q からいえることだけを適用して有限回の推論で矛盾を導けて P→Q を導けるとする。
そうすると、P、Qは両方共に真か偽のどちらか一方で、示すべき命題 P→Q は元々真だから、
仮定のPを任意の(Pとは異なる他の)仮定 P' で置き換えて P'→Q を背理法で示せることになる。
つまり、一般論として、結論Qが与えられた上で、任意の仮定 P' に対して、命題 P'→Q を背理法で示せることがいえる。
だが、これはあり得ない。有限回の推論の過程においてこのあり得ない事柄を導いて矛盾を得られた原因は、
背理法で命題 P→Q を示すにあたり、偽の命題 P∧ ¬Q から推論を始めて、
¬Q だけから行える有限回の推論に基づくことのみを適用して有限回の推論で矛盾を導けたことにある。
従って、背理法で命題 P→Q を有限回の推論で示すにあたり、命題 P∧ ¬Q を偽と仮定して、
¬Q だけから行える有限回の推論に基づくことのみを適用して有限回の推論で矛盾を導いて P→Q を導いてはならない。
だから、背理法で命題 P→Q を有限回の推論で示すには、単に ¬Q からいえることだけではなく、
元の仮定Pに含まれているすべての事柄から行える推論に基づくことも適用して有限回の推論で矛盾を導いて命題 P→Q を示さないといけない。