自明だから説明なんか書くなとか言いだしたら
よく分かっている人には大抵の事が自明なので
教科書や入門書に書くべき事などほとんど無くなる。

例えば、行列の積が結合律を満たすのは明らかだから
線型代数の教科書であっても、そんな下らん自明な事を
敢えて説明するのは怪しからん、とかいう事になる。
実際は初学者には全然その明らかさは分からないので、
線型代数の教科書は大抵きちんと説明しているはず。
その説明は、読者が線形写像やその行列表示などに対する
はっきりしたイメージを抱く為の梯子の役割をしている。

その類の教科書は、高校でちょっとだけ出て来た
∪とか∩とかの記号の事なんてほぼ覚えてないくらいの
レベルの人向けの本なんだから、そういう批判は
全然フェアでないように思われる、

自明という概念は読む人に依存するので、厳密には
読者A-自明とか読者B-自明とか言うべきで、
それを忘れて一様に定義される概念だと思うから
おかしな事になる。