>>367
一松本は、岩波数学辞典増訂版が刊行された1960年と同じ年に刊行された。
知る限りでは、一松本が発行された60年当時の多様体の和書は、
少なくて、他にポントリャーギンの連続群論位しかない。
様々な分野のマトモな本は殆どなかったときで、複素(解析)多様体の概念が書かれている。
マトモな多様体の和書が出たのは、殆ど一松本より後になる。他の色々な分野もそう。
書かれた当時は、グロタンディークの業績と被るかどうかの微妙な年代になる。
今から見たら、代数幾何も当時はスキームのないような古いやり方になっているといっていい。
一松本は、自分なりの厳密性の論理に合わせて感覚的に読む本。
一松本の巻末に挙げられている和書は殆どない。
参考になるには、基本的には、せいぜい岩波数学辞典の増訂版か第2版位。
それでも、著者が著者だけに、野口本よりは読み易く書かれていると思う。
野口本は、ベルグマン核が載っていないし、今のスキームを用いた代数幾何をする人向けだろう。

西野本と比較したら、名称が異なる概念も多く、理解することが
単に論理や言葉で理解することではないことが分かる。
岡自身の直観や閃きを理解することになる。

偏微分方程式でやりたかったら、ヘルマンダー読めばいい。
この本は、ヘルマンダーがはじめて連立線形偏微分方程式系を考えるに至ったような
或る意味で記念すべき本である。
原理的には、解析概論、溝畑本やシュワルツの超函数の理論と、岩波数学辞典第2版があれば読める。
今だと、解析概論は、杉浦解析入門と現代数学概説U(ルベーグ積分)か何かに分かれる。
細かいことについては、確か岩波数学辞典第2版が教科書になる。