>>481 つづき

見付かった基底状態の候補を、名前の通り密度行列を用いて各ブロックに対応する部分空間上に射影する。これにより、各ブロックの「関連する状態」が更新される。

ここで、片方のブロックを大きくし、もう片方を小さくして同じ手続きを繰り返す。大きくしたブロックが最大サイズに到達したら、かわりにもう片方を大きくする。最初の(等しいサイズの)状況に立ち戻ったとき、「スイープ」が完了したという。1 次元格子ならば通常、数回のスイープで 1010 分の 1 の精度を得るのに十分である。

DMRG法は Steven White と Reinhard Noack により、1 次元箱内のスピン 0 粒子のスペクトルを求めるというトイモデル(英語版)に対して始めて適用された。
このモデルはケネス・ウィルソンにより、何らかの新しいくりこみ群の方法をテストするために考案された。このような単純な問題でも、正しく解けない方法ばかりだったのである。
DMRG法は従来のくりこみ群の方法にあった問題点を、系を一つのブロックと一つのサイトに分けるのではなく二つのブロックを二つのサイトで繋ぐように分け、さらに各ステップの最後に最も重要で保存するべき状態を密度行列を用いて識別することにより克服している。
このトイモデルを解くことに成功したのち、DRMG法はハイゼンベルグモデル(英語版)にも適用され、成功している。

応用

DMRG法は、横磁場イジングモデルやハイゼンベルグモデル(英語版)など、およびハバードモデルなどのフェルミオン系、近藤効果などの欠陥のある問題、ボソン系、量子ワイヤー(英語版)に接続された量子ドットの物理など、スピンチェインの低エネルギー物性を得るための応用が成功している。
樹状グラフを扱えるよう拡張されたものもあり、デンドリマーの研究に応用されている。片方の次元がもう片方よりも非常に大きいような二次元系も精度よく扱えるため、ラダーの研究にも有用であることが知られている。

二次元系の平衡状態についての統計物理学(英語版)的研究向けや、一次元系の非平衡(英語版)現象の解析向けの拡張も存在する。

量子化学分野においては強相関系を扱うための応用もされている。

つづく