>>236 立川裕二先生 つづき

https://www.jsps.go.jp/j-toplevel/data/08_followup/H25reports/H25Report_j_KavliIPMU.pdf
世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)Executive Summary(延長審査用)H25
(抜粋)
研究成果 13:超対称ゲージ理論

物理学と数学の相互作用のもう一つの例として、論文[22]において、立川はO. Aharony及び
N. Seibergと共に、一般的ゲージ理論で従来は無視されていた離散的パラメータを発見した。こ
れらの新しいパラメータを記述する最も良い方法は、代数的トポロジーで盛んに研究されてお
り、1980年代に多くの日本人数学者が貢献したテーマである分類空間のコホモロジーを用いるこ
とである。しかし、分類空間のコホモロジーはこれまで物理学ではほとんど使われていなかっ
た。従って立川がKavli IPMUの連携研究員であることから、直接数学者に質問することが可能で
あったことと共に、全数学分野を広く網羅するKavli IPMUの図書室で図書を参照することができ
たことが非常に役だった。

*[22]. O. Aharony, N. Seiberg, and Y. Tachikawa, “Reading between the lines of four-dimensional gauge
theories”, Journal of High Energy Physics, 1308 (2013) 115
DOI: 10.1007/JHEP08(2013)115
ゲージ理論は平らな時空においては、ゲージ結合定数と、θ角という、二つの連続パラメータがあることは
長らく知られている。しかし、時空のトポロジーが複雑になると、それだけでは捉えられない効果があり、
長らく研究者を混乱させてきた。この論文では、一般の時空においては、ゲージ理論は上記の二つの連続パ
ラメータだけでなく、いくつかの離散的なパラメータを持つことが示された。これらの離散的なパラメータ
は、理論がどのような線演算子を持つかを決め、このパラメータを記述するには、群の分類空間のコホモロ
ジーを用いるのが良い。群の分類空間のコホモロジーは数学では長らく研究されていた対象であるが、物理
ではこの論文までは散発的に使われていただけだった。この論文の執筆には、Kavli IPMU の数学者との議
論、および、Kavli IPMU の古典から最新までの数学の文献を揃えた図書館の存在は不可欠であった。
(引用終り)