原 隆先生、”量子力学の構造”秀逸やね

http://www2.math.kyushu-u.ac.jp/hhara/lectures/09/butsuri.html
2009年度の講義 数学特論18 (数学科)4年向け,2009年度秋学期 Last updated: 10/02/12.原 隆(数理学研究院)九大
http://www2.math.kyushu-u.ac.jp/hhara/lectures/09/physics09.pdf
2010.01.18. 数学特論 (数学者のための物理学概論) 担当:原 隆(数理学研究院)九大

量子力学の構造
仮説1 (量子力学の舞台I.状態)
系の現在は可分な複素ヒルベルト空間Hの規格化された,つまりノルムが1のベクトル(状態ベクトル,または単に状態,stateと言う)で与えられる.

仮説2 (量子力学の舞台II.物理量)
(a)観測できる物理量(observable)はHの上の(自己共軛な)演算子(作用素)で与えられる.
(b)[対応原理・そのI]古典的対応物があると思っている系に対しては,これらの演算子は古典力学での物理量の関係を尊重するように決められる.

仮説3 (量子力学の舞台III.物理量の値(観測値))
(a)状態|ψ>にある系においては,ある物理量?Aを観測した観測値は?Aのスペクトル(固有値)の一つになる.
(b)?Aのスペクトル分解?A=∫d?PA(a)a(10)を用いると,観測結果が半閉区間(a1, a2]に落ちる確率は<ψ,{?PA(a2)??PA(a1)}ψ>=||{?PA(a2)??PA(a1)}ψ||^2(11)
で与えられる.

仮説4 (正準交換関係,CCR)n-自由度の古典系を表すヒルベルト空間はその上^1で「位置の演算子」?qjとその共軛の「運動量の演算子」?pjが正準交換関係(Canonical Commutation Relation,CCR

[?qj,?pk]?=ihδj,k(12)
[?qj,?qk]?= [?pj,?pk]?= 0(13)
を満たすよう,表現できるものである(j= 1,2, ・・・, n,k= 1,2, ・・・ , n).ここでhはプランク定数と呼ばれる定数^2で,その価はh=1.0545887×10^?34J sec.(14)
iは虚数単位でihは恒等演算子11のih倍をあらわす.また,δj,kはクロネッカーの記号δj,k={1 (j=k)0 , (j not =k)}
である.

つづく