>>651
私は、数論(数論幾何)の美しさは、数がその背後に深遠な数学的構造を宿してるからだと
ばかり思ってきました。加藤和也先生の「素数の歌が聞こえる」という表現は
あまり詩的過ぎて今まで漠然と受け取っていましたが、しかしあくまで
数自体はその深遠な数学的構造を人間に教えてくれる媒介であって
謂わばそれ自体が本質ではない副次的な存在だと勝手に信じていました。

しかし私がそのような理由で、以前より軽視していた初等整数論の本で
ハーディの数論講義を最近一瞥したら、実はそうではなく、
背後の深遠な数学的構造の有無以前の、その素朴な数自体にも
人間の知性を超えた輝きが確かに存在しているのだと、考えが少し変わりました。
その数自体の美しさを知った上で今までの自身の学習を振り返ると、
複雑な込み入った数学的構造自体の上っ面にしがみつき踊らされ
頭のゴムひもが伸び切ってしまっていたようにも思います。

代数幾何、類体論、保型形式など通常の洗練された現代数学と並行して、
数の原点である初等整数論や解析的整数論も少しずつ学んでみようかと
思っています。とりあえずハーディの本を読むのも一朝一夕には行かない
と思いますが、ハーディの本を読んだあとは、
ジーゲルの解析的整数論、分割関数、連分数、素数分布論、
リーマンゼータ関数や楕円曲線の初等的な取り扱い、など色々考えられますが、
素朴な数の原点のその最高峰は何と言ってもラマヌジャンのような気がします。
ノートブック5巻、ロストノート5巻、これだけで既に膨大ですが
つまみ食いで学んでいくにしても、一体どこから何に手を付けるべきか
道標を示してくれているサーベイすら殆どありません。
どの巻はどんな内容でどんな人がどこから学んでいけばいいのか、
宜しければ是非ともお聞きしたいです