俺は昔から声が小さい。生まれつきで、やる気がない訳じゃない。だから行事とかで応援しなきゃいけない時は人一倍声を出す努力をした。
けど小六の応援練習の時、教師にやる気がないなら止めろと言われた。俺は頑張ってた。全然知らない奴にだって声が枯れるほど声を出した。でも怒られた。
話し合いで意見を出しても誰にも聞かれない、俺と全く同じことを別の奴が言えば受け入れられる。
だから俺はもう何も言わなくなった。どうせ聞かれないし、聞かれたところで受け入れられないって思った。
そしたら何だ、話し合いに参加しろだの声を出せだの。お前らの所為だろ。何正論ぶってドヤ顔してんだよ。
中学に入って本格的に英語の授業が始まった。俺は張り切った、頑張ろうと思った。
隣の席の奴と読み合いをしろと言われた。俺は何でも卒なく熟せる奴じゃないから、所々躓きながら英文を読んだ。
隣の席の女にもっとちゃんと読めと言われた。やっているつもりだった。限界だった。俺は頑張ったって無駄なんだなと色んなものを諦めることにした。
今も英語は苦手だ。あの頃のことが頭を過る。英語そのものを拒否したから、基礎が分からない。
これを人に言うと「言い訳だ」「逃げだ」と咎められる。でも俺にとってはこれが真実で、何故それを何も知らない人間にそんなことを言われなくちゃいけないのか。