二人の敗者が、負けた理由を述べた。

一人は、「負けたのは自分の至らなさのためです。皆様に御恩返しができず本当に済まないと思います。」と述べた。人々は、「そんなことないよ。前向いて!」と言葉をかけた。
もう一人は、「負けたのは運が悪かったからだ。他の奴らも役立たずばかりで、俺に協力しやがらねえ。」と述べた。人々は人と世を呪う怨念に満ちた彼の怨嗟の言葉に慄き、その場を離れた。

これが、自己の利益と名誉とに執着しない者と執着する者との差である。