――神はなぜ、ある者には富と力を、ある者には貧困を与えられましたか。
 それぞれの道で試練を受けるためです。しかも、その試練を選んだのは霊自身です。

――2つの試練のうち、恐ろしいのはどちらですか。
 どちらも同じように危険なものです。貧困は神の摂理を恨み、金持ちは万事に分を超えてしまいます。

――金持ちには悪への試練がたっぷりあるかもしれませんが、同時に善をなす手段もいっぱいあるのではないですか。
 それこそ、金持ちがやらないことです。金持ちは利己的で、高慢で、貪欲になりがちです。財が多ければ、その欲望もそれにつれて多くなります。彼らは満足することを知らないからです。

――神はなぜ、それほど価値があるとも見えない人たちに富を与えたりなさるのですか。
 現在のことしか目が向かない人にとっては、富は恵みのように思えるでしょう。しかし、富は貧困よりももっと危険な試練であることが多いのです。

地上の不幸は、みなさんが自らの手で創り出した人為的な欠乏によるものです。自らの欲望を抑制し、自分より富む人を羨望の目を持たずに見ることのできる人は、地上において失望を味わうことはありません。最大の富者とは「最も欲しがらない者」です。

みなさんは、恵まれた富者たちを見てそれを羨ましく思います。しかし、富者の多くを待ち受けているものが何かをみなさんは知っていますか。
もし彼らが利己的で、その富を自分のためだけに使うなら、彼らの前途には恐るべき逆転が待ち受けています。彼らはむしろ哀れむべき人なのです。