なあ、お前と飲むときはいつも公園だな。
一番最初、お前と飲んだときからそうだったよな。
俺が貧乏フリーターで、お前が親から月5万貰うニートだったとき、
おごってもらったのがコンビニの酒だったな。
「俺は、毎晩こういうところで飲み歩いてるぜ。金が余ってしょーがねーから」
お前はそういって笑ってたっけな。
俺が警備会社に就職して手取り16万だったとき、
お前は今度親父の車もらうんだって胸を張っていたよな。
「毎晩2ちゃんとゲームで時間もないけど、金がすごいんだ」
「無職駄目板でネタスレでもたてれば、煽りもスムースにつく」
「こないだの年末年始は一人で漫画喫茶に行ってきたんだけど、何か?」
そういうことを目を輝かせて語っていたのも、公園だったな。
あれから十年たって今、こうして、たまにお前と飲むときもやっぱり公園だ。
ここ何年か、こういういい年してコンビニで買った酒をもって公園に行くのはお前と一緒のときだけだ。
別に公園が嫌とかそういうわけじゃないが、この寒い中、公園で酒は俺の頭じゃ意味がわからない。
兄貴の嫁と子供が来てるから泊めてくれ?そんなに嫌ならはただ単に働いて部屋借りればいいような気がしてならない。
なあ、別にホワイトカラーでなくたっていい。
もう少し世間に目を向ければ、警備員じゃなくたって、ある程度の底辺職でも食べていける。
肉体労働みたいな職をいくらでも知っているはずの年齢じゃないのか、俺たちは?
でも、今のお前を見ると、 お前がポケットからはみ出すPSPを見ると、俺はどうしても
「さっさと職安行こうぜ」って言えなくなるんだ。
俺が警備員クビになったの、お前も知ってるはずだろ?。駐車場誘導員で事故起こしたのも知ってるだろ?
新しく入ったタクシー会社で、一回りも歳の違う、50代の乗務員の中に混じって、
可愛そうな子供扱いされて、それでも必死に道覚えてタクドラ続けているのもわかってるはずだ。
だけど、もういいだろ。
十年前と同じ公園で、十年前と同じ、俺にはとうてい縁の無い世界(2ちゃん)を語らないでくれ。
そんなのは、無職駄目板で舞い上がってるお前のスレの住人だけが理解できる世界なんだよ。