24個ある穴のいくつかはスティックの円周部に直角ではなく、ガスが拡散するよう、ある角度をもって開けられている。
また、ガスの注入口から遠くなるスティックの下部に行くほど穴の径は小さい。ガスの重みによって下部の穴から噴出するガスの量が多くなるので、その量を適度に抑制するためだ。
いずれも冷凍ガスを万遍なくおしぼりに噴霧する仕組みであり、スティックは実用新案を取得するとともに特許も出願した。 

 同時に、ガスはスプレー口を指で押しても出ない構造とするなど安全性にも配慮した。商品パッケージのデザインやガス缶の生産も取引先の協力によって大車輪で進み、
6月下旬の発売に漕ぎつけた。

 東洋化学商会は父親(現会長)が創業し育てた会社で、村上は2代目社長だ。アメリカ留学から帰国すると日本はバブル崩壊期の就職難で、他社での修業は取りやめ父の会社に。
だが、「帝王学のようなことは嫌い」であり、人と接触することが大好きだったので、営業部門に飛び込んだ。
 ヴィプロスの設立は人好きの村上が、「お客様をさらに広げたい」とかねて念願していた道でもあった。ただし、販路拡大のための代理店は置かずに、
直接販売店を開拓するという手法にこだわっている。

 「お客様により近いポジションに居ることが商品の改良にもつながる」
ことをこれまでの営業経験で体得してきたからだ。

「プシュ冷え」でも女性ユーザーから貴重な意見を聴くことができた。
冷凍剤のボンベをより小さくし、ハンドバッグにかさばらずに入るタイプを、というものだった。早速、来季の商品群として検討を進めている。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1480?page=2