とある大手出版社の『週刊フォーラム』編集部に配属された新入社員の如月夏希(松岡茉優)は、編集長の勝矢真司(安田顕)から、ある企画の取材を命じられる。
『女の犯罪ミステリー 福田和子』。ファッション誌への配属を希望していた夏希にはまるで興味のない題材だったが、“魔性の女”、“美容整形”、“逃亡生活15年”といった稀代の犯罪者、福田和子を彩る刺激的な言葉が夏希を触発。
さっそく和子の足跡をたどる旅へと出かける…。

愛媛・松山——事件はこの場所から始まる。

昭和57年。34歳の福田和子(寺島(てらじま)しのぶ)は、松山の高級クラブでホステスとして働いていた。
身なりのいい客たちが静かに酒を飲む落ち着いた雰囲気の中にあって、豪快で気取らず人懐こい接客をする和子は異彩を放っていた。
絶世の美女というわけではないものの、愛嬌と独特の凄みを持つ和子は、他のホステスたちの目も気にせず、むしろ当てつけるかのように客と戯れてみせる。
だが、そんな自由奔放な和子にも敵わない相手がいた。客の目を引きつけてやまない美貌の持ち主、この店ナンバーワンの愛こと高山芳江(木村佳乃)だ。客から高価なプレゼントをもらい指名の絶えない芳江を、和子はどうしても視界から外すことができなかった…。

そんな和子も、家に帰れば夫と4人の子どもを抱える一介の主婦。夫婦仲は良く、幸せな家庭を築いていた。
だが、同時に愛人もいた。それも複数。家のローンに加え、愛人との密会にかかる金を工面するため、和子は夫に内緒で闇金融から多額の借入を重ねていた。
いよいよ首が回らなくなった和子は、芳江の家を訪ねていく…。

瀟洒なマンション。家具も調度品も豪華なものばかり。高価な着物や宝石など、客からの貢物で溢れている芳江の部屋で、和子は適当な嘘の理由を作り、金を無心する。
しかし、芳江は自分も自身の店を出すための資金が必要だと言って、和子の依頼を拒否。おわびにと、和子に酒を振る舞ううち・・・。

無防備な芳江。数々の高級家具や調度品を見つめる和子。そこに、魔が差し…。

和子は手近にあった帯締めを掴むと、芳江の首に巻きつけ絞殺。
遺体の搬出と山中への遺棄には夫・俊次(滝藤賢一)に手伝わせ、芳江の預金は親類に頼んで全額引き出し、さらに家具など調度品は愛人・五十嵐忠(眞島秀和)との愛の巣に運び込むという荒業をやってのける。

しかし、芳江殺害から5日後。自宅に警察らしき相手から電話がかかってくる。とっさに子どもの声音を使い居留守を装った和子は、その晩、親類に会いに行くと夫に嘘をつき、愛媛から姿を消す。
こうして、気の遠くなるほど長い、和子の14年と340日に及ぶ逃亡生活が始まる——。

https://www.toei.co.jp/release/tv/1207160_963.html