457 :453:2001/02/21(水) 15:43
その後、そんなことも忘れていたのですが、ふとその事件を思い出す日が来ました。
皆高校を卒業し、それぞれの道を歩みだしていました。
そして意外なことに、Aは極道の道を選びました。
俺達の学校でその道を選ぶ奴は決して珍しくはありませんでしたが、
心根のやさしいAがその道を選んだのは、正直以外でした。
そして、その噂は回って来たのです。
Aが勝手にクスリを持ち出し売上を搾取して、今やばい状態だということを。
Aがその世界に入ってから、近所で会うことも無くなりました。
今どこに住んでいるのかも知りません。
あれからもう10数年もたった今、たまに地元に帰って昔の友人と飲むことがあっても、だれもAの消息を知らないと言うのです。
他の友人で同じ世界に入った奴らとは連絡が取れたり出来ているのに、まったく取れなのはAだけです。
この10数年の間、誰一人とっていないのです。

その日も地元の奴らと飲んでいました。
酒がまわってきたころ、あのときのメンバーだったBがぽつぽつとあの日の話をし始めました。
俺はそれを止めました。Bの言いたいことは分かっていたからです。
あの日Aは最後にやけくそになって、銅像の乗っているコンクリートの台に抱きつきました。
もしそれがAの身に返ってきて、今もコンクリートを抱いていたら・・・
そう思うと、たまらない気持ちになります。