田村亮のプレゼン

たった1週間で妊娠・出産できます!
子供がほしい女性につけ込んだミラクルベビー教団の正体
2004年、ロンドン。一人の女性が、かかりつけの産婦人科にやってきた。
彼女の名は、ミリアム。夫チャールズと幸せな生活を送っていた彼女は、大きな悩みを抱えていた。
それは、子供が出来ないこと。もうすぐ40歳、ミリアムは半ば諦めていた。
そんな彼女が、笑顔で現れた。
夫の腕には赤ちゃんが。なんと、子供ができたという。医師は信じられなかった。
3週間前、ミリアムの体には、妊娠の兆候すらなかった。
子供など、産まれるはずがない。しかし、なんと1週間で妊娠出産したとあり得ないことを主張する。一体、彼女に何があったのか?
さかのぼること1カ月。
その日、夫を仕事に送り出したミリアムは、何気なくテレビをつけた。
目がとまったのは、ある宗教団体の番組。
怪しげな教祖の名はギルバート・デヤ。
ケニヤ出身の彼は、1997年ロンドンで宗教団体を設立。
7年間で3万人にものぼる信者を集めていた。テレビ番組は、その布教活動のひとつ。この日、現れたのはケガが原因で歩けなくなったという車椅子の女性。デヤはひざまずき祈り始めた。
すると、なんと、歩けなかったはずの女性が歩き出し、飛び跳ねはじめた。教祖が見せつけるパワー。その、どれもが、奇妙で、不思議な光景だった。ミリアムは、デヤと教団について調べてみた。
すると、彼らのホームページに胸に刺さる言葉があった。
「不妊の方への祈り」。『ミラクルベビー教団』という名の通り、子供が授からず、悩んでいる女性に赤ちゃんを授ける奇跡を起こすという。例えウソでも、一度くらい覗いてみてもいい。ミリアムは教団を訪れた。
すると、そこには、赤ちゃんを抱いた笑顔の女性たちが大勢いた。「私も…信じれば…」気がつくと、集会に参加していた。そして帰り際、パンフレットが渡された。
「あなたの献金はとても有益です。寄付すれば、あなたに奇跡が起こります」子供、一人を授かるお値段は、5000ポンド。決して安い金額ではないが、このまま不妊治療を続けても子供が出来る保証などない。
ミリアムは治療費として準備していた金を寄付することにした。
すると、2日後。教団から連絡だった。願いを叶えてくれるという。
夫と共に教祖の元へ。特別な部屋に通されたミリアム夫妻は、デヤから奇跡を起こす祈りを受けた。さらに、教祖曰く、霊的パワー溢れるケニヤに行けば、子供が授かるという。
ミリアムは、デヤと共に、ケニヤの病院へとやって来た。
そして、驚くべきことを告げられる。「じゃあ、今から出産です。」言われるがまま、正体不明の注射をされたミリアム。その直後、意識が次第に遠のいた。
3時間後。目が覚めると、隣には赤ちゃん。自分で産んだ実感はなかった
しかし、長年、夢見た赤ちゃんが目の前にいる。
この瞬間、彼女は頭に浮かぶ全ての疑いを消し、奇跡を受け入れた。
産まれた子供は、ケニヤの病院で出生証明書を出してもらえればイギリスへ連れ帰ることができるという。