国のトップでも、レベルの差を痛感する

人工知能と人間 技術に倫理の裏打ちを
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2019021102000109.html

人工知能(AI)と私たちはどう付き合うべきか。科学はもちろん、政治や社会がよく考えねばならない。使いこなせるか、暴走をどう止めるのか。
倫理を持った人間が手綱を握り続けるしかない。

来日したドイツのメルケル首相と慶応大学学生らとの討論会=写真=に、ヒントの一つがあるようだった。

AI活用について問われたメルケル氏の答えは「どこまで人は、その人らしさを保てるか」という問い掛けで始まった。

彼女はこう説く。「義足をつけたり臓器移植を受けたりしても、同じ人間のままだ。
しかし、私が脳にチップを埋め込み、より早くうまく考えられるようになっても、同じ私と言えるだろうか。私の人間性はどこで終わるのか。
AIのおかげで遅かれ早かれ、他人の考えていることを読み取れるようになるだろう。
しかし、誰にでも人に言えないことはある。
他人とすべてを知り合ってしまうことで、殴り合いや殺し合いが増えるかもしれない。
AIに倫理的な歯止めをかけなければならない」。国の喫緊の課題である。

技術には常に長所も短所もある。倫理の裏打ちが必要だ−物理学者、プロテスタントとしての顔も持つメルケル氏からのメッセージ。
開発に前のめりな中でも忘れてはなるまい