各社が相次いで値上げを実施する背景にあるのは、原材料価格の高騰です。日本経済は過去20年間、横ばいという状態が続いていました。同じ期間で、諸外国の経済規模は1.5倍から2倍に拡大しており、
それに伴って、物価も上昇傾向が顕著でした。
 日本の食品類は原材料の多くを海外からの輸入に頼っています。海外の物価が上がれば、日本にとってはそのまま原材料価格の上昇につながります。

 これまで日本の食品メーカーは、価格を据え置く代わりに、内容量を減らすという一種の誤魔化しを続けてきました(俗にステルス値上げなどと呼ばれる)。
しかし、こうした誤魔化しも限界に達しており、各社はいよいよ名目上の価格を引き上げざるを得なくなってきました。

 価格を引き上げると売上が減るリスクを抱えることになりますが、それにもかかわらず、名目上の値上げを実施するということは、コストの上昇が予想以上に進んでいることを示しています。こうした動きが続けば、
やがて物価全体が上昇を開始し、インフレになる可能性が高まります。その時までに景気が回復していなければ、スタグフレーション(景気が悪い中でのインフレ)に陥る可能性も出てくることになるでしょう。