=有明抄= 蟻の穴から(玄海原発蒸気漏れ)
http://www.saga-s.co.jp/articles/-/202964

百聞は一見にしかず」とは、このことだろう。
玄海原発3号機の2次系配管で蒸気漏れが発生した問題である。
紙面に載った写真では、黒いさびや、1センチほどの穴が開いているのがはっきり分かる
◆「空気抜き管」と呼ばれるそうだが、いくら配管1本とはいえ、原発という高度に管理されているはずの施設の姿なのか。
しかも雨水の浸入で腐食したという
◆「ささいなことだ」と考える人がいたら、大変だ。
ささいなことが見落とされてきたのなら、もっと大きなのは大丈夫なのかと考えるのが普通の感覚。
再稼働前に、これ以上ないほど点検してきたのではなかったか
◆思えば、東日本大震災から7年。福島第1原発事故の影響もあり、今も7万3千人が避難生活を送る。
佐賀新聞社が昨秋行った県民世論調査では、玄海原発の再稼働には49%が反対と答えている。
離島を抱えて避難計画の実効性など課題は残されたままだ
◆実は、「穴」はほかにもあった。
川内原発1号機(鹿児島)。1本の燃料棒から放射性物質が漏れていた。
こちらも微小な穴が開いていたという。
九電のホームページに載っている。
専門用語が多く分かりにくいところもあるが、点検に穴はないか私たちも目を凝らしたい。
「【ルビ注意】蟻ありの穴から堤も崩れる」。
天下の大事もささいな欠陥がもとで起こるという戒めである。