首都圏でM4.5以上の地震発生前 FM放送波に異常変動観測 2018年3月21日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201803/CK2018032102000175.html?ref=rank

首都圏一帯でマグニチュード(M)が4・5以上の地震が発生した際、事前にFM放送波に極端な強弱が現れる異常変動が観測された事例があることが、
桐生市にある群馬大大学院理工学府の本島邦行教授(電磁波工学)による研究で分かった。

地震と電波異常との関連や原因は未解明で、研究には課題も多いが、東日本大震災から七年を迎えて本島教授は「将来的に首都直下地震の予知に役立てたい」と
取り組んでいる。 (菅原洋)

本島教授が桐生キャンパスに設置している各アンテナから二十四時間受信しているFM放送波のうち、二〇一二年四月から一五年四月にかけ、
百キロ弱離れた東京スカイツリーから発信されたNHK−FMの放送波を分析した。

その結果、三年間にM4・5以上、震源地が深さ五十キロ以内、桐生と東京を結ぶ電波の経路から百キロ以内で二十七回の地震を観測。

電波の異常は三年間で十九回発生し、このうち地震発生前の二十四時間では三回の異常を確認した。

具体的には、一二年四月に千葉県北東部でM5・8の地震が発生した際、約五時間前から約一時間半前にかけて電波異常があった。

地震と電波との関係をテーマにした研究は欧米やアジアで取り組まれている。ただ、本島教授によると、常時受信できる範囲内でFM放送波の異常を
研究しているのは国内では唯一で、世界的にも見当たらないという。

本島教授は今回の調査結果に関連する研究成果を、昨年五月に千葉市で開催された「第四回地震前駆過程に関する国際会議」で発表した。

本島教授は二〇〇五年ごろから校舎の屋上にFM放送波のアンテナを付け始め、現在は七本で受け、一六年からは前橋市の荒牧キャンパスでも受信している。

東京都、埼玉、千葉、茨城県から発信されるNHKや民放が対象だ。

本島教授によると、東京からのNHK−FM以外でも地震発生前に一〜二割程度の確率で電波異常が観測され、偶然とは考えにくい。ただ、地震との関連や
原因は不明。

地震が起こる前に地中深くで岩盤に大きな圧力がかかる際、何らかの物質が発生し、大気圏内の電波経路に影響を及ぼす可能性が考えられるという。

本島教授は「地震が発生する前に周知する予知のためには、まだまだ確率の面で課題が多い。

ただ、東日本大震災で多数の人命が奪われた教訓を思い起こすと、甚大な被害が予想される首都直下地震に向けて何年かかってでも研究の精度を高め、
実用化を目指したい」と意欲を見せている。