この推移が続けば、自分にも健康被害が及ぶだけでなく、
組織も戦力が不足して、仕事が、社会が、回らなくなる。

かつて、戦前のワシントン・ロンドン海軍軍縮会議では総
排水量で対米英7割のラインを日本は死守しようとした。
それは艦隊としての動きを考慮すると、戦闘力は総排水量
の自乗に比例し、この戦闘力が敵の半分(0.7×0.7≒0.5)
を切るといかなる作戦でも敗北は必至だったからである。
現代のビジネスでもこれと似たようなことは考えられる。

「頭数減」という状況下においては「個々人の能力低下」
「コミュニケーション能力低下」も同時進行するはずで、
組織としての戦闘力はその相乗効果で自乗、三乗で低減。
そのインパクトが最も脆弱な部分に、すなわち昨年末から
の外食・物流戦線縮小にすでに現れていると考えられる。

失われた20年でブラック化した日本の労働環境において
過去にもセンセーショナルな過労死はあったにも関わらず
電通過労自殺を契機に、ここに至って急に労働時間抑制の
動きが(実効性はともかく)広がったのは奇異に思える。

そして先駆的企業では受注=仕事量抑制に踏み切っている
状況を見れば、企業ないしは産業界ひいては官界において
「国民労働力の質×量が目に見えて低下してきた」という
危機感が認識されてきたのではないかと思えてならない。
事故起因との認識には至らずとも客観的な絶対量として。