霧島連山の硫黄山 噴火警戒レベル2に引き上げ 5月9日 21時02分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170509/k10010975511000.html

宮崎と鹿児島の県境にある霧島連山の硫黄山の火口内で、8日、土砂などがわずかに噴出した跡が確認されました。気象庁は、今後、小規模な噴火が
起きるおそれがあるとして、硫黄山に噴火警戒レベル2の火口周辺警報を発表し、山からおおむね1キロの範囲では噴火に伴う大きな噴石に警戒するよう
呼びかけています。

気象庁によりますと、硫黄山では、8日、東京大学地震研究所が行った現地調査で、火口内で土砂などがわずかに噴出した跡が確認されたということです。

また、先月25日以降、山が隆起していることを示す地盤の変動が繰り返し観測され、現在も続いているほか、監視カメラによる観測や気象台の現地調査では、
温度の高い領域の拡大や噴気の量の増加が確認されています。

このため気象庁は、硫黄山では火山活動が高まり今後、小規模な噴火が発生するおそれがあるとして、9日午後7時20分、硫黄山に火口周辺警報を
発表するとともに、噴火警戒レベルをレベル2の「火口周辺規制」に引き上げ、硫黄山からおおむね1キロの範囲では、噴火に伴う大きな噴石に警戒するよう
呼びかけています。

また、風下側では降灰や小さな噴石にも注意するよう呼びかけています。

火口から半径1キロ以内 立ち入り規制

宮崎と鹿児島の県境にある霧島連山のえびの高原の硫黄山の噴火警戒レベルがレベル2の「火口周辺規制」に引き上げられたことを受け、火口から
半径1キロの範囲の立ち入りが規制されたり、県道の一部区間が通行止めになったりしています。

このうち、地元の宮崎県えびの市は、気象庁が火口周辺警報とレベルの引き上げを発表した午後7時20分に、火口から半径1キロの範囲の立ち入りを
規制したほか、宮崎県は、県道1号線のうち硫黄山の付近を通る一部の区間を通行止めとしました。また、宮崎県は、火口から半径1キロの範囲にある
登山道への立ち入りを規制しました。

10か所以上で噴気勢いよく上がる

霧島連山のえびの高原の硫黄山について、8日夕方、現地を調査した東京大学地震研究所の中田節也教授によりますと、硫黄山では、火口内とその周辺の
およそ200メートルから300メートルの範囲で、少なくとも10か所以上、噴気が勢いよく上がっているのが確認されました。

このうちの1か所は、噴気が出ている穴の大きさが2メートルほどあり、その周辺で長さおよそ150メートル、幅およそ50メートルの範囲で土砂などが噴出した
痕跡が見つかったということです。

中田教授は「土砂を噴き上げた回数などは確認できなかったが、風が強く、土砂が周囲まで飛んだと考えられる。全体的には地熱の高まりが活発になって
いるものの、現時点では大規模な噴火活動が起きる可能性は低いと考えられる。ただ、登山者などは今後の活動に注意し、自治体の指示に従って
規制区域には立ち入らないことが重要だ」と話しています。

万一に備え どこに逃げればいいのか確認を

霧島連山の火山活動に詳しい鹿児島大学の井村隆介准教授は、「硫黄山では地下の浅い部分で圧力が高まっていると考えられるが、水蒸気噴火は一定の
ガスがたまるといつ発生するかわからない。自治体の規制範囲に入らないことはもちろんだが、規制範囲の外が必ずしも安全というわけではないので、
登山などの際には、万一に備え、どこに逃げればいいのか確認するようにしてほしい」と話していました。