戦中の学童疎開が時々話題になるが、勘違いが多いので一応説明する。

戦前・戦中の日本の経済体制を定義すれば、「国家資本主義」ということになる。
これは、資本の源泉的蓄積過程から成長段階まで
富の源泉である国民労働力を国家管理の下に置き、最大効率で資本に提供する体制のことだ。

国民労働力を国家管理をするのは、
1)過酷な労働条件を義務化し、労働総賃金の逓減を図ること。
2)その条件を受忍する従順な労働人口増産のための国民教育制度を運営すること。
3)統制秩序の妨げになる外来思想を遮断するために政治・思想活動を統制すること。
4)思想統制の他の国民不満を抑制するために相互監視の組織化を図ること。

学校等の教育機関や検察・警察機関と隣組などの統制によって行う2・3・4は、
全て目的である1を実現するための手段として設けられたが、

前線軍の瓦解が進行して本土空襲が本格化するに至り、
特にコストの掛かる都市部の民生費用の削減を目的に
兵・労働力の「即戦力」とならない学童を除くための地方分散を図っている。

都市学童の民生には国庫負担が生じるが、地方分散させればその費用が0になるというわけ。

目的は、あくまで財閥を始めとする資本利潤を限界まで維持すること。
未成年者を機雷や飛行体として人間爆弾にしている国が
間違っても学童の安全のための政策を採らないことは確認するまでもないだろう。

したがって、現在でも学童疎開が何らかの利権となり、経済利益を生じるなら実施する可能性が大いにある。

さて?考えてみよう。子供を移住させることでコスト削減や利潤となるかな。
逆に経済体制にとって否定的な結果を生むことが判るだろう。
それが、子供を移住させる可能性のない理由だ。

日本の国策は、過去も現在、そして未来も一貫している。全ては資本利潤のため。
それを知れば、この国を正しく理解することができる。