恐竜絶滅まねいた巨大隕石 海底クレーターの現場検証で新発見 メキシコ
2016年11月18日 14時40分
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メキシコのユカタン半島沖には、巨大隕石が墜落したクレーターがある(イメージ画:DETLEV VAN RAVENSWAAY/SCIENCE SOURCE)

恐竜絶滅を引き起こしたとされる巨大隕石が衝突したメキシコ沖のクレーターから採取した岩石や堆積物から、クレーター形成の過程を
解明したと東北大学などのチームが発表した。衝突規模や恐竜を絶滅させた地球環境の変化を推測する手がかりになるとして期待され
ている。

メキシコ・ユカタン半島沖には、約6600万年前の白亜紀末に天体が衝突してできた直径200キロの「チチュルブ・クレーター」が海底数百
メートルの深さに埋没している。東北大・災害科学研究国際研究所の後藤和久准教授や東邦大学などのチームが、今年4?5月にかけ
て、二重のリング状になったクレーターの縁にあたる部分の掘削に参加した。

一般的なクレーターは、隕石が小さければお椀型の地形になるが、直径が30キロを超える場合、クレーターの内部に環状に盛り上がっ
た「ピークリング」という地形ができるが、その形成メカニズムは、これまでよくわかっていなかった。

チームは地球深部を掘削できる特別な船で、深さ618メートルの海底から砂岩や角礫(かくれき)岩など衝突に伴う堆積物と、その下の
深さ748メートルから花崗(かこう)岩を採取。

コンピューターによる解析の結果、隕石落下時の衝撃で花崗岩はすり鉢状に崩壊したのち、周囲に広がった部分が反動で中心に戻って
隆起。その後、盛り上がった部分が沈下して、津波によって砂岩や角礫岩が周囲に堆積して、二重の環状地形が形成されたことがわか
った。

ピークリングができたのは数分とごく短く、形成過程は、液体の表面に物を落としたときと同じような変化を遂げたものと推測される。

 地震波の探査で、メキシコ沖には金星や火星にあるクレーターとよく似た二重構造の地形があると指摘されていたが、海底深くのため
調査ができなかった。研究グループは、「今回の発見を通じて、衝突の規模やエネルギーを分析し、恐竜の絶滅を引き起こした地球環境
の変化のメカニズム解明につなげたい」と話している。


 なおこの研究成果は、米国科学振興協会の専門誌「サイエンス」に18日に掲載された。

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海底下618メートルから掘削された隕石衝突で吹き飛ばされた角礫岩(撮影:J. Morgan/提供:東北大学)

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ピークリングの形成過程を示した図(Scienceより)



地球深部を掘削できる特別な船って地球号かな