渡辺あや脚本の「今ここにある危機とぼくの好感度について」の第一回の一つのハイライトとなる鈴木杏の橋の上での台詞は以下の通り。
これがNHK総合のゴールデンタイムのドラマで全国に流された意味はとても大きいと思う。
鈴木杏のセリフの抑揚や間の取り方や視線の逸らし方は非常に素晴らしく、台詞だけでは良さが分からないかもしれない。再放送があれば見てほしい。
このシーン以外も、ラストシーンの定食屋で見たワイドショーのセリフなどもなかなか秀逸。
NHKが本腰を入れて研究不正のドラマを作っていることは間違いないw

「あのね、一介のポスドクがさ、上司のスター教授と大学っていう権力を全部敵に回すの分かってて内部告発したんだよ。
そんな大それたこと、どれだけシミュレーションとか検証とか徹底的にやり尽くした上でことに及んでるのかって、ちょっと想像したらわかんないのかな?
ホント権力持っている人たちって、見下している人間に対して想像力ないよね。
君もね、見下すのは勝手だけど、見くびるのは止めた方が良いよ。痛い目見るから。
私は、日本の科学研究に、あるべき姿に戻ってほしいだけだよ。
資金、資金、資金って、お金のことばっかりに必死になって。
あまりにいびつに歪んでしまって、もう絶対このままじゃダメだって、みんな分かってる。
だけど誰も止められない。
私だって、こんなことしてそれでどうなるの?とも思うよ。
だけどやらないよりマシだから。
例えば、病気が重くて死にかけてるなら、まずそれを認めるしかないじゃん。
どんなに嫌でも、病名を知らなきゃ治療だって始まらないじゃん。

私は、昔から、好きな人にまともに相手にされるような女じゃなかった。
でも研究さえしていたら楽しくて夢中になれた。
世界は私の相手をしてくれる。本気で、真剣に、正直に。
だから研究の喜びを取り戻したい、自分と現場に。それだけだよ。」