0323矢芽ねつぞう
2017/12/07(木) 07:48:21.33ID:zCwWHXQUx話は戻るが、M男はボストン時代に結婚していた
その年もさむい冬だったが、そんなM男にも幸運が訪れた
同じマンションに住む、日本贔屓のユダヤ人に、論文の書き方というものがイマイチ分かって居ない様子の日本人が困ってる、とある女性を紹介された、後にM男妻となる女で、カナダでM男の代わりに重要なデーターをハラスの家に取り返しに怒鳴り込みに行った人物である
あっけらかんとした人だった
海外が長く、日本を離れて、足りない事が沢山ある、だけど、こっちも自分の育った場所という捉え方をしていた
M男はこれまでの孤独さを現実として受け入れる事が出来たし、会ったことのない類いの、独特な人だった
それがM男には新鮮だった
彼女からすれば、幼少期から「日本」という概念に囚われ、アイデンティティに苦しみ自分と同じ境遇の日本人を求めてた部分もあったのだろう
どこかお互い「不幸」を求めてる、その中に「幸せ」があってそれは心地の良いものだった
そして、年は離れていたが彼女が学位論文を書き終えるころにはM男はその女性と同棲を始めていた
M男40過ぎの春だった
同棲初日には、彼女はキッチンに直行した
食器類を見て一言
「不吉だわ」
と言い放ち、なんか黙々と作業をしている
大事にしてた土鍋を始め、彼女は食器を処分して行った
女は恐ろしい、食器を見ただけで過去の女のタイプまでドンピシャ当てて来る、こればっかりはヤラれたし、今でもネタにされる
女ってそう言う直感が働くんだと思った、自分の男としてのマヌケさを痛感した