ゲノム編集 遺伝子修復治療 世界初の臨床試験開始 2017年11月16日
https://mainichi.jp/articles/20171117/k00/00m/040/051000c

遺伝子を精度良く改変できるゲノム編集技術を用い、難病患者の体内で遺伝子を修復して治療する世界初の臨床試験を開始したと、米サンガモ・セラピューティクス社が15日、発表した。
これまで、血液中の免疫細胞を体外に取り出し、その遺伝子をゲノム編集で修復する臨床研究は例があるが、体内では初めて。

 同社によると、臨床試験は、代謝物質「ムコ多糖」の分解に不可欠な酵素が肝臓で作られないために起こる先天性難病「ムコ多糖症2型」が対象。
ゲノム編集するための遺伝子を組み込んだ「運び屋」のウイルスを、静脈から患者の体内に送り込む。
ウイルスが肝臓の細胞にたどりつくと、まずゲノム編集の道具となる2種類のたんぱく質が作られ、
それらが肝細胞の遺伝子を修復して、必要な酵素が作られるようにする。

 今回のゲノム編集技術は、現在広く使われている「クリスパー・キャス9」より前に開発された「ジンクフィンガーヌクレアーゼ」。
目的の遺伝子を探し出すたんぱく質と、その部分を切断するたんぱく質がセットになっている。

 AP通信によると、患者は44歳の男性で、13日に投与を受けた。
担当医は、肝細胞の1%で遺伝子が修復されれば治療は成功する、とみているという。
患者計9人に投与する予定で、同社は「血友病B」と「ムコ多糖症1型」でも体内でのゲノム編集による臨床試験の準備を進めている。
いずれも肝細胞がターゲットという。