大津市の男性職員が上司の指示で時間外勤務手当を申請できなかったのは違法だとして、市に対し同手当の支払いを求めた訴訟は10日までに、控訴審の大阪高裁で和解が成立した。市が約108時間分の手当約37万円を男性に支払う内容。

 訴状などによると、男性は農林水産課勤務の2016〜17年度のうち計8カ月間、実際には時間外勤務をしていたにもかかわらず、当時の上司から「予算がないから手当の請求をするな」という指示を受け請求しなかったとして、約123時間分の手当約41万円の支払いを求め、19年3月に大津簡裁に提訴した。

 一審は、他職員には手当が支給される中で「男性だけ予算不足を理由に請求させないのは考えにくい」などとして、訴訟を移送された大津地裁が棄却。一方、控訴審は「一定期間のみ時間外勤務の必要がなくなったというのは不自然」として男性の主張を認めた上で高裁が和解勧告していた。和解は7月30日付。

 男性は「このような手段はパワハラにほかならない。本来聖域であるはずの人件費にまでコストカットを行ってしまった結果で、許し難い」と話している。