名古屋城木造化、22年完成を見直し 文化庁、解体を継続審議
(2019年6月22日 中日朝刊)


 名古屋城天守の木造復元事業で、名古屋市は二十一日、文化庁の文化審議会に諮問されていたコンクリート製現天守の解体申請が同日の会合で許可されず、「継続審議」となったことを明らかにした。
 市が文化庁に連絡して確認した。
 これを受け、市は二〇二二年末の完成を予定していた工期を見直す方針を示した。今後、新たな工期の設定に向け事業主体の竹中工務店などと協議する。

 市によると、文化審議会の審議では、解体工事で石垣などの遺構にどんな影響があるかを発掘調査によって評価すべきだと指摘されており、適切な追加調査をすれば許可される可能性は残った。
 文化庁からは「今後の審議予定は見通せないが、速やかに結論を得たい」と伝えられたという。
 文化財に絡む許可申請で文化審議会に諮問され、判断が持ち越された例はない。
 復元の許可申請と切り離して解体だけを先に申請した前例がないため、一カ月の審議期間では不十分だと判断したとみられる。

 市は当初、昨年十月に復元事業の許可を得る想定だったが、石垣の保全方針が市の有識者会議「石垣部会」から了承を得られなかったため申請をあきらめ、先行解体に方針転換した。
 今回許可されていれば来月から準備工事に入り、来年二月から半年かけ現天守を解体、その間に復元事業の許可も得て木造天守を着工し、工程を七カ月圧縮すれば辛うじて二二年末に間に合う可能性があった。

 河村たかし市長は継続審議となったことを受け「ぼくは守りたいが、現実的には竹中さんから新しい工期が出てくることはある」と、工期の見直しに初めて言及。
「木造復元は市民との約束。達成するために最善の道を選択していきたい」と述べた。

https://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2019062202000101.html