放射光建設の出資募る 産学連携組織が都内で企業説明会

放射光施設への出資などを訴えた企業向け説明会

 東北大青葉山新キャンパス(仙台市青葉区)への次世代型放射光施設整備を目指している
産学連携組織の光科学イノベーションセンター(同)は6日、企業向けの説明会を東京都内で開いた。施設の整備運営に携わる文部科学省のパートナー公募にはセンターのみ応募しており、関係者は「産学共創」の理念による建設の実現と積極的な出資を呼び掛けた。

 企業の開発担当者ら約200人が参加した。センターの高田昌樹理事長(東北大総長特別補佐)は「東北の放射光施設は産業界と連携して造り上げる。産業構造を変える大きなツールになる」と協力を求めた。

 建設費に充てるため企業に呼び掛けている1口5000万円の施設利用権付き出資について、
新たにグループ企業や業界団体が共同出資できる制度も紹介。
ビームラインの利用方針を国に提言する二つの諮問委員会の設立も説明した。

 精密加工のティ・ディ・シー(宮城県利府町)はセンターの仲介を受け、
同様の放射光施設の「スプリング8」(兵庫県佐用町)で加工精度を評価する試みに挑んでいることを報告。赤羽優子社長が「施設は中小企業も期待感が大きい。放射光を使った高精度の評価はオンリーワンの技術になる」と手応えを語った。

 スプリング8を利用して低燃費タイヤを開発した住友ゴム工業(神戸市)の若林昇研究開発本部分析センター長も
「企業の人材開発には時間がかかる。
研究者や分析会社と連携して施設を活用できる東北の構想は有効だ」と期待した。

 放射光施設を巡っては3月22日、センターと宮城県、仙台市、東北大、東北経済連合会の5者連名で
パートナーへの応募提案書を文科省に提案。6月初旬に選定結果が示される。


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2018年04月07日土曜日

| 河北新報オンラインニュース
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