「平成」の30年、なぜ日本はこれほど凋落したのか
変革への対応が得意だった日本人が、この30年、負け続けた理由
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55931
 つまり歴史を振り返ってみると、新しい時代、新しいゲームについていくことは、本来、日本人はどこの国の人たちよりも得意
なはずなのです。
 ところが、平成の時代に起きた世界の構造変化には、さっぱりついて行けなかったのです。その原因は、一つしか考えられ
ません。それは「人的資源の劣化」です。もう少し突き詰めて言うならば、平成に起こった日本の凋落は、「教育の敗戦」の
結果だったと言えるでしょう。
 高度成長期から平成の最後まで、日本人の教育は、「受験していい学校に入り、いい会社に入り、そこで頑張って出世する」
というゲームをするための教育でした。学校教育の仕組みというレベルを越えて、社会全体でそういうゲームを作ってしまった
わけです。その結果、イノベーティブな人が多数出てきたり、活躍したりしにくい社会になりました。

 エリート中心主義の末路

 これは実は、中国のかつての凋落の歴史に近いと思います。例えば、17〜18世紀にかけての中国の清朝は世界に冠たる
帝国で、世界中のどの国と争っても負けるはずがないスーパー大国でした。しかも科挙という試験によって、あの広大な
中国大陸の中から、とびっきりの秀才だけをかき集めて国家運営をしていたのです。世界最強の国が、最高の人材を集めて
国家運営しているのだから、負けるはずがありません。
 ところが19世紀になるとその勢いが衰え、西欧諸国に事実上植民地化され、敗れていくことになります。私はこれは、科挙と
いう超難関試験を突破することだけを考えて勉強するようになったエリート中心主義に失敗の原因があったと思うのです。
(続く)