東京都は、需要の増加が見通せず、維持費用がかさむなどして年間5億円の赤字経営が続く「工業用水道」について、
廃止する方針を固めました。
同様に赤字経営に悩む全国各地の自治体での、廃止するかどうかの議論に影響する可能性があります。

東京都の工業用水道は、地盤沈下を防ぐため工場での地下水のくみ上げを規制する代わりに、昭和30年代から整備され、
上下水道とは別の配管を通じて工場などに供給され、鉄鋼の冷却や金属・皮革製品の洗浄などに使われています。
しかし、その後地盤沈下はほぼ落ち着き、工業用水を使う企業は去年3月末の時点で185件とピーク時の3分の1以下に落ち込み需要の増加が見通せず、
年間5億円の赤字が出ているほか、老朽化した施設の維持・更新におよそ2300億円が必要となっていて、関係者によりますと有識者委員会が近く、
「廃止すべきだ」と提言する報告書をまとめる見通しだということです。
こうした状況を踏まえ、都は工業用水道を廃止する方針を固め、今月開かれる都議会で正式に表明することにしています。
地盤沈下対策として行われた工業用水道の事業では、全国の自治体で初めての廃止となり、
都の方針を受け同様に赤字経営に悩む各地の自治体での廃止するかどうかの議論に影響する可能性があります。
ただ一部の業界にとっては、工業用水道に比べてコストがかかる上水道の使用は大きな負担となることから、
今後は自治体による業界への支援のあり方も課題となります。

ttps://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20180604/0012609.html