22歳で大卒後、5年間主事として下積みをすると、“主任級職選考A”という昇進試験を受けることができる。
これが制度上、最速で受けられる昇任試験だが、謂わば1日も早く上に昇進したい幹部候補生の為の試験である。
都庁の昇任試験は全て本人の志願制で、黙っていれば試験は受けなくてもいいが、それだと永遠に出世はしない。
この試験は、未だ横並び意識が強い若い世代が多いだけに、有資格者の6〜7割が取り敢えずは受験する。
主任級職選考Aは、マークシート式の教養問題A(※55題・2時間45分)と論文(※2時間30分・2題中1題を選択)があり、これに“専門知識評定”、そして日々の仕事ぶりが判定された“勤務評定”の点数が合算される。
都庁の採用試験では、かなり幅広い分野からの教養問題が出されるが、この主任選考の教養試験では更に問題数も増え(※統計資料の見方・基礎的法令・地方自治制度・地方公務員制度・都政実務・都政事情等)、仕事の中身と直結する都政関連問題が出題される。
5択問題だが、内容はかなり濃密だ。
なお、この教養試験で一定の点数を取ると、たとえ主任試験に落ちたとしても、翌年以降再チャレンジする際、教養試験は免除される(※但し3年間のみ)。
この試験の合格率は、1発合格なら20%、トータルで30%程度と言われる。
如何に早く(※できれば20代の内に)この試験に合格し、主任になるかが1つの分かれ道となるのである。
主任となれば仕事も更に忙しくなる為、年収は150万〜200万円アップ。
更に、合格後には人事異動が待っているが、ここで、総務・主計・人事・政策等に関与する本庁勤務となれば万々歳となる。
晩成型の人材というのは存在するが、大抵の場合、3年も働けばどこに配属されていようと、仕事のできるヤツかそうでないかは、かなり評価が定まってきている。
主任試験を受けそうで、且つ受かりそうな人材は、かなりの確率で本庁に呼び戻されていると言っていい。   
この主任級職選考は再チャレンジできるが、ずっと合格できないまま入都後13年経過(※或いは40歳を過ぎると)すると、“選考A”ではなく“選考B”になり、試験内容も変わってくる。
毎年受け続けているのに5連敗・6連敗するような職員は、違う意味でちょっと問題がある訳だが、将来、局長になるような人材は、大抵30歳くらいまでに主任になっている。