和歌山県田辺市の水環境をテーマに意見交換する水処理専門家や建築士ら(26日、和歌山県田辺市高雄1丁目で)
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 和歌山県田辺市街地の水環境を考えるシンポジウムが26日、同市高雄1丁目の市民総合センターであった。

水処理の専門家らが中心市街地では汚水処理が進んでいないと指摘し、市民の環境に対する意識を高めることの必要性を強調した。

 田辺市の市民団体「南紀田辺まちづくり研究会」(松下泰子会長)が、6月にワークショップ(研究集会)として開いた第1回に続いての学習会。

会員や市民ら22人が参加し、水環境の課題を挙げ、改善方法について考えた。

 「生活から出る排水処理と環境影響」と題し講演した和歌山工業高等専門学校環境都市工学科の鶴巻峰夫教授によると、汚水処理率の全国平均は9割だが、和歌山県は6割で全国ワースト2。

県内の市町村では田辺市は平均以下で、中心市街地を流れる背戸川の水質は汚れがひどく、都市部の河川と同じくらいだという。

主に汚れの原因となるのが飲食した残りの排水で、単独浄化槽ではなく、合併浄化槽か下水道が必要。全国的にみて、旧田辺市の人口規模であればどこの市町も公共下水道に着手しているという。

 シンポジウムは、鶴巻教授が司会を務め、水処理専門家や建築士がパネリストとなり、排水処理や小規模下水道などについて語った。

 研究会のメンバーで、田辺市の水処理専門家、出島嘉伸さんは、田辺中心市街地で合併浄化槽の設置が進まない理由として「単独浄化槽を設置するのが全国的にみても早かった。

当時、景気が良かったというのもあるだろうが、それを合併浄化槽に替えるのはなかなか難しい」と説明。

市民の環境に対する関心の低さも指摘し「自然が豊かなためだろうか。排水で環境を汚していることに何も感じないのは問題。考える機会をもっと増やさなくてはいけない」と訴えた。

紀伊民報 2018年8月27日
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