○今後10年間は文科省の信頼回復は難しい

今回の天下り斡旋問題が表面化した際、文科省内でまことしやかに流れたのが、
原理主義者で融通が利かない前川氏を蛇蝎の如く嫌っていた財務官僚らによる陰謀説だ。

前川氏に煮え湯を飲まされた財務官僚は少なくなく、霞が関にネットワークを張り巡らす
財務省が追い落としを図った――。

昨年4月の日経新聞に掲載された前川氏のインタビュー記事では、学力低下を招いたと批判された
「ゆとり教育」を擁護するような発言を行い、「脱ゆとり」を推進する自民党の一部議員が謝罪を
求めていきり立つ一幕もあった。それだけ内外に敵は多かった。

ただ、監視委の調査が大詰めを迎えた昨年末には周囲に「あまり長く務められないかもしれない」と
辞意を漏らしていたという。

前川氏に近い文科省幹部は「不憫でならない」と同情するが、別の幹部は
「リクルート事件のときと同じように、今後10年間は文科省の信頼回復は難しいだろう」とこぼした。