竜一はまだあのヤクザの事務所のソファの上で毛布をかぶって眠っているだろうか。
 竜一と一緒に暮らすのは何をぼくにもたらすだろう。
 それがどのような旅へまたぼくをいざなうにしたところで、ぼくはそれでいいのだと思えるだろう。 そうぼくは思った。
奇妙な灰色の朝――ゆくさきの望みもなく、金もなく、 ただ頼みがたい愛だけを頼りに友達のもとから飛び立ってゆこうとしている。
二十歳のぼくは、 不安におびえ、愛におびえ、そしてなんだか奇妙なくらい幸福だった。

以上終わりのないラブソングのエンディングの文