>>460
<優先課題のはき違え>
バンダービルト大のギア氏は、トランプ氏が米国の多数意見に同調したことは今まで一度もないと話す。
実際、2016年の大統領選に出馬したトランプ氏は、反既成勢力の立場を打ち出し、白人労働者層に対して雇用の国外流出や移民
流入の不安をたきつけた。こうした作戦が奏功し、国民からの得票数そのものでは負けながらも選出された選挙人の数で当選を果たした。

ただし新型コロナと経済悪化が国民にとって重大な懸念材料となった今、トランプ氏がずっと提唱してきた移民取り締まりはもはや優先
課題ではなくなっている。直近の調査では、共和党員の間でさえ、移民が一番の心配だと答えたのは8%にとどまった。昨年1月時点
では、これは34%だった。

また専門家の話では、白人層の不満に焦点を当てるトランプ氏の手法は、黒人が置かれた不公平な立場が広く認識されてからは、
意味をなさなくなった。トランプ氏としては、米国の今の状態をもたらした「犯人」を探し、攻撃するのに苦戦している状態だ。

そうした背景もあり、4月から6月までにキリスト教福音派のトランプ氏支持率は11%ポイントも低下。農村部などでも過去1カ月
で14%ポイント下がり、半数以上が「黒人の命は大切」運動に共感すると答えた。