全米をデモ覆うも「物言わぬ多数派」はトランプ支持
白人を「トランプ再選」に走らせる恐怖と不安
2020.6.15(月)青沼 陽一郎
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60908
米国の「少数派」に転落寸前の白人
トランプはそんな彼らを「サイレント・マジョリティ(物言わぬ多数派)」と呼んだ。サイレント・マジョリティがトランプを大統領に選んだ。
 この「サイレント・マジョリティ」という言葉を最初に使った大統領は、トランプではない。第37代大統領のリチャード・ニクソンだ。
1969年11月3日のテレビ演説の中で「グレート・サイレント・マジョリティ」と呼びかけた。当時は、ベトナム戦争が長期化、泥沼化
していて、米国内には反戦運動が高まっていた。
 だが、声高に反戦を叫び、活発に運動しているのは、実は少数派であって、国民の多くは声にしないだけで戦争には賛成してい
るはずだ。この戦争を勝利に導くと誓い、支持を求めたのだ。
「米国を敗北させ、貶めるのは、北ベトナムでない。(戦争に反対する)米国人だ」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60908?page=2
再選を目指したニクソン、「サイレント・マジョリティ」に訴えて圧勝
 ベトナム戦争に反対するのは、都会に住むインテリやリベラルといった富裕層のホワイトカラーが多い。学者やジャーナリスト、
作家、ミュージシャン、俳優などが際立って戦争に反対する。
 それに対し、徴兵されベトナムに送られるのは田舎の白人ブルーカラーや、その子どもたちが多かった。しかも、戦争に行った
田舎の若者たちは“人殺し”呼ばわりされる。そこに兵役を巧みに逃れて過激な反戦運動に身を投じる大学生や、反体制的
で自堕落なヒッピーへの反感も加わる。
 72年の大統領選挙では、この「サイレント・マジョリティ」を選挙フレーズに掲げたニクソンが、50の州と特別区のうち、実に48州
で勝利を収める圧勝で再選を果たしている。