米民主党がブチ上げた「雇用保証」とは何か
政府が働きたい人の雇用を保証する大胆策
安井 明彦 : みずほ総合研究所 欧米調査部長    2018/05/25 6:00
https://toyokeizai.net/articles/-/222009
「すべての働く意欲がある人は働き先を見つけられるべきであり、わたしたちは社会として雇用の
尊厳を尊重すべきだ」と述べる民主党のコリー・ブッカー上院議員は、米国でにわかに注目が集
まっている新たな経済政策を正式な法案として提案した人物で、2020年の大統領選挙への
出馬が有力視されている。

ニュージャージー州選出の同議員は、ウォール街の金融業界との主張の近さが指摘されるなど、
どちらかといえば中道派の議員。そのブッカー議員が、連邦政府の規模を一気に1.5倍に拡大
するようなリベラルな提案を行っているところに、雇用保証への注目度の高さが表れている。

リベラル陣営もこぞって追随

同議員が4月20日に提案した法案の共同提案者には、大統領選挙への出馬を狙う政治家が
目白押しだ。そのなかには、ニューヨーク州選出のカーステン・ギリブランド上院議員や、カリフォル
ニア州選出のカマラ・ハリス上院議員といった、中道派の議員が含まれている。

リベラル派も負けてはいない。リベラル陣営の雄であり、やはり次の大統領選挙への出馬がうわ
さされるマサチューセッツ州選出のエリザベス・ウォーレン上院議員は、ブッカー議員が提案した
法案の共同提案者に名を連ねている。前回の民主党の予備選挙に出馬し、国民皆保険制
等のリベラルな主張でヒラリー・クリントン元国務長官を追い詰めたバーニー・サンダース上院議
員(バーモント州選出)は、独自の雇用保証案を用意しているといわれる。主義主張の違いを
超えて、民主党の有力政治家が、競うように賛意を表明しているのが現実だ。